2010年11月12日金曜日

AutoCADでの図面回転について (UCS + plan)

 図面の見た目の角度を変えるのは、土木系の図面を扱う仕事をしてる人がよく使う技なんだけど、原理が分からないで使ってるとUCSとプランビューの理解まで怪しくなってくるので自分なりに考えてみました。 

AutoCADで座標を変えないで図面を回転させる場合、以下の手順を踏みます。
  1. 「ツール」→「UCS」→「Z軸回転」
  2. 「表示」→「3Dビュー」→「プランビュー」→「現在のUCS」
  3. 「ツール」→「UCS」→「ワールド」
このとおりUCSのZ軸回転とプランビューを組み合わせてますが「UCSもプランビューも角度を変える」という機能の一部だけを使っていて(しかもこの2つの回転は性格が違う)、土木系の仕事ではUCSもプランビューもこの作業の時だけしか使わないという所も理解が深くならない理由なんだなと思います。


さて、本題に移ります。

この手順ではWCSの図面をUCSをZ軸回転させて、最終的にはWCSにしている(WCS→UCS→WCS)。
このため座標系(UCS)をいじって図面を回転させていると勘違いしやすいですけど、これはプランビューで見た目の回転をさせているだけで、座標系をUCSに変えるのは一瞬です。
  • UCS : 座標系の変更
  • プランビュー : 視点(見た目)の変更
下図は20°傾けた長方形です。この長方形の長辺を水平に回転させる手順を踏みながら解説していきます。1つの点の座標を表示して、どのように座標系が変わるか見ていきましょう。


① UCSのZ軸回転 
ユーザー座標系を平面的に回転させてUCS(=仮の角度)にする。UCS矢印の角度が変化します。
この段階で座標系がUCSになるので、座標値も変わります。
※この回転は後にプランビューで見た目を回転させるための下準備。


② プランビュー「現在のUCS」
プランビューを現在のUCSに変えると、①で設定した目的の仮の角度(20°)にオブジェクトが見た目で回転します。この状態では座標系は仮のUCSのまま。
③ UCSをワールドにする
座標系を元のWCSに合わせる。
プランビュー(見た目の回転角度)はUCSを回転させても変わらないため、WCSと同じ座標系になっても見た目の回転は変わらない。(代わりにUCS矢印が回転してWCSになる)
これで座標を変えないで図面の見た目を回転させることができました。
元の角度にに戻すときは 「表示」→「3Dビュー」→「プランビュー」→「平面図」で戻せます。
元に戻したときに座標が変わるかと心配になるかもしれませんが、③の手順で既にWCSに戻しているので、座標が変わることはありません

重ねて説明しますが
・UCSは座標系をいじるだけで、図面の見た目(ここでは角度)は変更されない。
・プランビューは見た目を変更する機能で、座標系を変えることはない。

まとめ
この図面の見た目の傾きを変更する手順は、プランビューのオプション「現在のUCS」を使ってUCS(=仮の角度)に見た目を合わせてしまい、そのWCS(=元の角度)戻すことで座標を変えずに見た目の角度を変更することができるというわけ。

・・・わかりにくいですよねw



現在のUCSの確認(おまけ)
図面が回転されているときに、ちゃんと座標系がWCSになっているかの確認。
コマンドラインに「ucs」を打ち込んでEnter
するとオプションの上の行に「現在のUCS名:」で設定されているUCSが表示される。
  • Z軸回転させていると「*名前なし*」
  • 設定が保存されているUCSならばその名前
  • WCSだと「*ワールド*」
特に土木系の仕事では実際の測地系に則った座標を使って作図することがほとんどです。
その場合、モデル空間ではWCSに合わせて、更にXYを逆に読み取りながら作図することが基本のようです。もちろん測量座標系のUCS(WCSを裏返した感じ)を作ってそこで作図してもかまわないけど、周知の通りデメリットが多すぎる。

測量座標系UCSのように意図的にUCSが設定されていて、そのUCSに合わせて作図された場合「現在のUCS名」に作成者がつけたUCS名が表示されるか「名前なし」となるかの2通り考えられる。
結局のところ、実際に座標を指定して作図した際にちゃんと意図したところに作図されるか、されないか。そこで判断するしかなくなるケースも多いかと思います。